一昔前。「日焼けは健康に良い」「水を飲むとバテる」「野球選手は肩を冷やすな」。と、信じられていた。しかし、それらは全て科学的に否定された。つまり迷信であった。現在では「リサイクル」は環境のため。資源の有効活用のため。と、信じられている。反対意見でも言おうものなら社会から白い目で見られそうである。
今日、我国では「紙」は当たり前のようにリサイクルされている。「紙を使うと森林が破壊される」と信じ込まれている。「森林」は、お金も時間も手間もかかるが、計画的に植林すれば作ることが可能な資源である。現に、パルプに使われる木のほとんどは先進国の森林から伐採されているのに、その森林はここ十数年来増加している。森林という資源を増やすという「環境」よりも「コスト」を優先し「石油という新たに生産できない有限資源」を浪費することによって作られた産物が「再生紙」である。首をかしげることは、まだまだある。酸素供給、二酸化炭素の吸収、洪水防止、水質浄化等など森林の役割は大きい。その大切な森林を守るために「間伐」は行われる。にもかかわらず、間伐材から作られている「割り箸」をも「環境の悪」とする動きすらある。
「ペットボトルのリサイクル」は、もっと解かりやすい。ペットボトルは「石油」から作られる。しかし、回収、運搬、圧縮、粉砕、洗浄、乾燥などのリサイクル工程にはエネルギーとして「石油」が使用されている。一本のリサイクルボトルを作るのに、新品のボトルを作るのの「4倍」もの石油が使われているという。言語道断である。(*現在、衛生上、再生ボトルは作られていないが、他にリサイクルする場合も基本的には同じである。)
閑話休題。ここにちょっと理解しがたい数字がある。下記の表1:をご覧頂きたい。ゴミ焼却場の数の国別比較が載っている。日本の1769に対してアメリカが168。環境先進国と言われるドイツは51。イギリスは僅か7である。また、下記の表2:から「直接埋立率」を見ると日本の15%に対しアメリカ62%。ドイツ45%。カナダに至っては84%とほとんどのゴミは埋立られている。我国ではゴミの埋立は環境汚染と考えられ、埋立処分場建設の話が持ち上がれば、地域総出の大反対運動が展開されるのが、常である。
素人の私にはどっちが良いのか分からないが、考え方が違うのは間違いないようだ。我々は、金科玉条のごとく「リサイクル」「循環型社会」と叫んでいるが、もしかして、かつて誰も疑おうともしなかった「日焼けは健康に良い」「水を飲むとバテる」と同様のことなのかもしれない。もしそうならば、たとえ社会から冷たく見られようが、堂々と是々非々を唱えるべき・・・。とは思うのだが、そう言う私の名刺は再生紙を使い「我が社は環境に配慮しています」というポーズをとっている。
「赤信号 皆で渡れば 怖くない」の逆で「青信号 ひとりで渡るは 怖いもの」と言ったところだ。「呪縛」は続く。
表1:環境の実態
| 国別ゴミ焼却場数 |
| 日 本 |
1769 |
| アメリカ |
168 |
| フランス |
100 |
| ドイツ |
51 |
| スウェーデン |
21 |
| イギリス |
7 |
(ISWE YEARBOOK 1997より)
表2:諸外国及び我が国における世界のゴミ焼却の現状
| |
スウェーデン
(1991) |
オランダ (1993) |
ドイツ (1993) |
米国
(1993) |
カナダ
(1992) |
日本
(1993) |
| ゴミ発生量(千トン/年) |
3,200 |
12,000 |
43,500 |
207,000 |
23,200 |
50,300 |
| ゴミ焼却量(千トン/年) |
1,700 |
2,800 |
11,000 |
32,900 |
1,200 |
38,000 |
ゴミ焼却率(%) ※直接埋立率(%) |
55 27 |
23 50 |
25 45 |
16 62 |
5 84 |
74 15 |
| ゴミ焼却施設数(ヶ所) |
21 |
11 |
53 |
147 |
17 |
1,854 |
1施設あたりのゴミ焼却量 (千トン/施設/年) |
81 |
255 |
208 |
223 |
71 |
20 |
(ISWE YEARBOOK 1997より) |