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今日、居酒屋で酒を飲んでいても、どこかのテーブルでISOの話が出ている。その多くが「金がかかる」「書類が増えて困った」「専任が必要」「複雑すぎる」という嘆きである。
ユニバーサルスタジオが大阪に出来たが、出入りする業者は14001を持っていなければいけないという。ゴミ収集運搬に行く会社も取得していなければ、「見積もりを出す資格がない」らしい。大企業と下請け、親会社と子会社の関係でも、「取りなさい」と言われれば取得せざるを得ない。
ISOとは何なのか?勉強して正しい理解をするにも、そのための本は数あるものの、イメージがはっきりつかめない。講演などに行けばコンサルタントや審査機関によって言うことはまちまちだ。我々は誰を信じていいかも分からない環境である。挙句に、悪いコンサルタントを選んでしまったり、自分たちだけでやろうとしたりして失敗する。取得するのに何年もかかり、導入後のコストアップが経営を圧迫することも問題になっている。
ところが当社「セントラル建設」では、ISO9002取得を契機にコストダウンに成功した。きっかけは一九九九年のことである。当時、専務であった私は、「建設不況の時代」をにらんで生き残りを模索していた。
当社は岐阜県東部(東濃地区)の恵那市にある、典型的な中小企業だ。一九六一年に中央舗道という名称で、岐阜県下初の舗装専門工事会社としてスタートを切った。その後、セントラル建設と社名変更し、舗装を中心に各種土木工事を施工するとともにアスファルト合材を製造するプラントと、建設廃材を骨材に再生するリサイクル施設、アスコンセンターを運営している。私は比較的順調に思える今こそ、「売り上げが減少し、競争が激しくなっても、生き残れる会社を作りたい」と考えていた。
あるコンサルタントと出会い、確かなものを感じた私はISO導入を依頼した。すると徹底的な社内調査によって、私の目には見えなかった当社の問題点が次々と浮かんできたのである。ISOとは企業の土台を固めることである。土台がきっちりとしていないうちに固めてしまっては大変なことになる。そこで経営基盤の見直し、正しい方向に向かうことに重点を置き、経営管理の基本原則として示されたPDCAのサイクルを徹底させた。
ここが一番大変だった。しかし充実した時間でもあった。一緒に汗を流し、多くの社員と語り合い、お互いの信頼関係から会社一丸体制を築き上げることが出来た。そして見直した土台の上に正しいISOを導入した。その結果、わずか九ヵ月という期間で二〇〇〇年三月、ISO9002を取得することができた。二〇〇一年には14001も七ヵ月という短い期間で取得を達成した。スピードを競うつもりはないが、取得期間の短さには大きな意味があると思う。本文で詳しく説明するが、マニュアルがシンプルで合理性がなければスピード取得は無理であるからだ。
巷にはコンサルタントが書いた本がたくさんある。しかし、取得した立場から書かれた本は少ない。ISOとは経営管理システムを追求するものだ。その仕組みの上に「品質」をのせると9000’Sになり「環境」を載せると14001になる。きちんとした管理の仕組みを築き上げることこそ、最重要の課題なのだ。本書を書いたのは、正しいコンサルタントを選び、正しい取り組みをすれば、ISOは「経営そのものの仕組みを正すツールとなる」ことを訴えたいと思ったからである。もちろん、当社においてもISOによってすべてが完璧に整ったわけではない。しかし、チェック、アクション(是正)を繰り返すことで当社独自のシステム作りの理想に近づけるようになった事は事実である。
これから取得にチャレンジされる会社、古い窮屈なシステムで困っている中小企業の皆さんも多いはずだ。ISO9000’Sは二〇〇三年までに、一九九四年度版から二〇〇〇年度版に移行する必要に迫られている。今がこれを正していくチャンスなのだ。
本書は正しいISOを理解するための入り口である。どちらかと言えば初心者向けだが、「ここを失敗したらうまくいかない」というツボは押さえてあるつもりだ。ISOの正しい認識と使われ方につながり、業種を問わず多くの経営者の皆様へのささやかなヒントとなれば幸いである。
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